東京高等裁判所 昭和63年(ラ)120号 決定
抗告人提出にかかる各文書、すなわち破産者大日産業株式会社作成の買約証(甲第一号証)、抗告人作成の売掛金勘定元帳(甲第二号証)、請求書控(甲第三号証の一、二)、納品書控(甲第四号証の一、二)、債権仮差押決定正本(甲第五号証)、更正担保権届出書写、第三債務者作成の証明書(甲第七号証)、同大阪地方裁判所昭和六一年(ヨ)第一四五二号債権仮差押事件についての陳述書、玉野小野田レミコン株式会社作成のレデーミクストコンクリート納入書控(甲第七号証の一ないし二一)、同コンクリート試験依頼申込書(同号証の二二)、同証明書(同号証の二三)によると、抗告人は破産宣告前の大日産業株式会社(以下「相手方」という。)に対し昭和六〇年九月三〇日付売買契約(基本契約)に基づき、別紙担保権・被担保債権・請求債権目録記載のとおり各出荷日に各種生コンクリート、モルタル及びテストピース(以下「本件生コンクリート等」という。)をそれぞれ売り渡し、相手方は本件生コンクリート等をいずれも即日第三債務者に転売したこと、本件生コンクリート等は、抗告人が岡山県南生コンクリート協同組合からこれを買い受け相手方に売り渡したものであり、これを抗告人から指示を受けた玉野小野田レミコン株式会社が同協同組合から相手方の転売先である第三債務者(広島支店)の工事現場に直接運送して引き渡したものであること、同協同組合から第三債務者に運送された本件生コンクリート等は、運搬車一台ごとに運搬車番号、納入日時、納入容積等により個々に特定され、その特定された生コンクリート等の単価及び数量に基づき代金額が算出されており、本件生コンクリート等がその製造から納入までの間に互いにあるいは他の生コンクリート等と混入混和した形跡はなく、同協同組合と抗告人間、抗告人と相手方間並びに相手方と第三債務者間の各売買の対象物である本件生コンクリート等は他のものと識別できる程度に特定され、かつ各売買を通じて同一のものであることを認めることができる。
以上の事実によれば、本件生コンクリート等は、抗告人から相手方に、相手方から第三債務者に各売買されるにあたり他の物件と判然と識別でき特定されているから、動産売買の先取特権の物上代位権の行使に必要な特定動産というを妨げず、かつ前掲各文書は本件申立ての基礎となるべき担保権たる先取特権の存在していることを証するものということができ(民事執行法一九三条一項)、その結果、抗告人は、相手方に対し別紙担保権・被担保債権・請求債権目録記載の売買代金債権及び先取特権を取得し、かつ別紙差押債権目録記載の相手方の第三債務者に対する売買代金債権につき物上代位により右先取特権を行使しうる地位にあるということができる。
(舘 牧山 小野)